写真: 浅野豪

かくかくしかじか
後藤 靖香
2015.09.04 金 – 10.03 土

この度、テヅカヤマギャラリーでは後藤靖香の個展「かくかくしかじか」を開催する運びとなりました。

後藤は幼少期より祖父や大叔父の戦争体験を聞いて育ち、当時の過酷な時代を懸命に生き抜いた人々の強さに惹かれ、次第にそれらをテーマとした作品を描くようになります。また、近年は作品が展示される場所に応じて、当時その場所で働いていた人々の葛藤や営みをテーマとした作品も手掛けています。共通して言えるのは、その時代をたくましく生きようとした後藤と同世代の若者達の姿を描く事にあります。また、壁を覆い尽くすほどの画面に大胆な構図で描かれた後藤の作品は、その圧倒的な存在感と迫り来るかのような力強い筆跡から鑑賞者の記憶に強く残ります。

2011年、大阪名村造船所跡地にて発表された「床書キ原寸」では、当時造船所として使われていた広大なスペースを舞台に、全長10mの作品を2点のみ展示するという想像を超えたスケール感の展示を見事に成功させ、翌年の「さくやこのはな賞」、「絹谷幸二賞」を受賞。近年、国内でも益々注目を集める若手作家の一人として広く認知されるようになります。前回の発表から約3年ぶりとなる本展は、戦争画家として従事した若かりし頃の日本の芸術家たちに焦点を当てた展覧会となります。これまでと同様に後藤は制作したいテーマが定まると徹底的な資料集めから始め、モチーフとなる人物像が立ち上がってくるまで隈無く精査したのち、ようやく筆を画面へと走らせます。戦争画家というテーマでは、過去にも多方面で研究や企画展がなされておりますが、後藤のアプローチはそれらとはまた違った趣をもって、鑑賞者の前に提示される事でしょう。

折しも今年は戦後70年という節目の年にあたり、様々な企画展や特集が組まれる中での発表となります。後藤が当時の芸術家たちが抱えた苦悩や葛藤をテーマに描くという行為は、そこに少なからず自身を重ねた、ある種の自画像と言えるのかもしれません。本展ではタブロー作品、ドローイング作品を中心とした展示となります。是非、この機会にご高覧賜りますよう、お願い申し上げます。

カタログデータ (PDF)