Exhibition 2024

Exhibition 2024

築山有城

2024.7.5 Fri - 2024.8.3 Sat

このたび、TEZUKAYAMA GALLERYでは75日より彫刻家、築山有城の個展「Exhibition 2024」を開催いたします。

 

1976年に兵庫県神戸市に生まれた築山は、2000年に京都造形芸術大学芸術学部美術科彫刻コースを卒業、現在に至るまで出身地である神戸に拠点を置き、関西を中心に精力的に活動をしている彫刻家です。20236月からはアートと社会のより良い関係をつくるべく活動している神戸のアーティストコミュニティ C.A.P.(芸術と計画会議)の代表も務めています。

築山が扱う素材は金属や樹脂、木、塗料など多岐に渡りますが、制作の出発点は常に素材そのものにあります。彼自身が「遊び」と呼ぶ実験を繰り返す中から素材固有の特性を捉え、それを作品主題の一部とする点において、築山の作品制作には一貫した姿勢が感じられます。

 

今展では、絵画教室で受け取った石膏像と本物の牛の頭骨を中心に、築山がそれにまつわる考察を行います。デッサン用のモチーフとして使われた石膏像と牛の頭骨は、築山にとって、時代や文化によって異なる解釈や意味合いを持ちます。築山が信念や感情、経験、文化的背景などに影響され、独自の視点や経験に基づいて、石膏像を彫り進める際にある種の脚色や自身のリアリティが投影されます。石膏像を回転させながら、体感的に触れることでリアリティに近づいていきます。現実性と実在性、西洋人と東洋人、紀元前の彫刻家と現代の石膏職人、そして亡骸、相互作用を通じて、築山のリアリティは形成され、新たな意味や価値を生み出します。

 

どうぞ、この機会にご高覧くださいませ。

 

 

[アーティストステートメント]

役目を終えて譲り受けたデッサン用のモチーフ群の中に、石膏像と牛骨がありました。

アポロ、メジチ、ボルゲーゼ、ヴィーナス、陰影を描く訓練に最適とされる美しい石膏像とは違い、牛骨の、徐々に朽ち果てていく亡骸そのものであるという事実は私に圧倒的な存在感を突き付けました。古代ギリシャ彫刻を元に原型と型を何度も経て現代に流通する石膏像に鑿を入れ、エッジを出し、「彫刻作品」として牛骨の存在を超えられまいか?

彫っていると、髪の毛の質感や耳のディテールなどの細部が気にならなくなり、石膏像が隣人のように存在感を持ってすっと私の前にいるように感じられる瞬間があります。

それがリアリティと呼ばれるものなのかどうか。メジチの作者はミケランジェロとあります。もちろんオリジナルではありませんが、古の巨匠の仕事の痕跡を少しドキドキしながら彫りすすめました。また、石膏像の裏側に目をやれば職人たちの無意識の仕事を観ることができます。石膏というフラジャイルな素材を補うべく張り込まれた造形を「モチーフ」として描いた石膏デッサンです。

表を彫り、裏を描く。紀元前の彫刻家と現代の石膏職人、そして亡骸、2000年以上の時を超え、その間をつなごうとする試みです。