鼓動

鼓動

上原浩子

2012.11.23 Fri-2012.12.22 Sat

このたびテヅカヤマギャラリーでは、今年最後の展覧会としまして、京都在住のアーティスト上原浩子「鼓動」を開催する運びとなりました。なお、本展覧会は今年で5回目を迎える大阪アートコンプレックスの参加企画です。

1985年生まれの上原は京都市立芸術大学院を今年修了しました。在学初めの頃はおもに平面制作を行なって いましたが、表現の更なる可能性を求めて、次第に立体制作へと移行していきます。平面制作で培われた描写力や観察眼は立体制作においても生かされ、血管まで透き通った肌の柔感や穏やかな顔の表情は今では上原作品の代名詞ともなり得ています。これまで国内に限らず海外でも作品を紹介し、非常に高い評価を頂いております。

上原自身を想像させる人物像と植物とを関連付けた作品群は、鑑賞者に様々な感覚を抱かせてくれます。 ある人にとっては人物と植物の増殖を連想させ、植物が人物に侵食していき人間の根絶をイメージさせるかもしれません。またある人はその幸せそうな表情の柔らかさから共存や生物の新たな誕生を思い描くことでしょう。 この相反するイメージが作品には宿っており、如何に感じるかは鑑賞者に委ねられています。そしてそれは自分自身を投影しているようにも思えてきます。

本展では、ギャラリー空間全体を使ったインスタレーション形式の展示を行なうことにより、本来上原が制作する上で持つ感覚やコンセプトをより深く表現することになるでしょう。

鑑賞者となる皆様がどのような感覚を持つのかを体感していただきたく、是非ご来廊くださいますようお願い申し上げます。

 

作家ステートメント

例えば、 誰かを求めて伸ばす手と 太陽を求めて伸びる枝葉

出会いの度に蜘蛛の巣のように広がっていく人間関係と 大地に根を張り網の目のように繋がる多種多様な森の植物

人も植物も同じ地上に生き、日々変化し、やがて朽ちて、 次の世代へと移っていくものです。 その共通点を私の視点で捉え、絡み合わせ、形にしていく。 どちらも私にとってはとても身近で、愛おしく、神秘的ないきものなのです。