Main Gallery
切磋- 絵画の証Ⅳ
鈴木淳夫/和田直祐
2023.9.15 fri - 10.14 sat
このたび、TEZUKAYAMA GALLERYでは鈴木淳夫(b.1977)のキュレーションによる企画展「切磋-絵画の証Ⅳ」を開催いたします。今展は、企画者である鈴木と関西で活動するペインター、和田直祐(b.1983)の2人展形式となります。
鈴木は1977年に愛知県に生まれ、2001年に静岡大学大学院教育学研究科を修了。現在まで生まれ故郷の愛知県豊橋市を拠点に活動している画家です。自身の作品を「彫る絵画(Carved Painting)」と称し、幾重にもパネルの上に塗り重ねた絵具の層を彫刻刀で削り出し、様々な図柄を描く画風で制作を重ねています。鈴木が作り出す画面からは作家の息づかいすらも感じ取れる程の緊張感と「彫る」という反復行為による痕跡の総体がイメージとなり、鑑賞者に提示されます。
和田は1983年兵庫県に生まれ、2013年に京都造形芸術大学(現・京都芸術大学)大学院芸術研究科を修了。現在は大阪に拠点を移し、活動をしているペインターです。薄く溶いた絵の具を幾層にも塗り重ねる古典絵画の技法「グレージング」を参照しながら、光と空間性をテーマに、高透明のメディウムを用いて独自の絵画表現の構築を試みています。透過性の高い画材を用いて、何層にもレイヤーを重ねる事で生まれる繊細な色層と奥行きを持った画面は、展示空間の光そのものを取り込み、漂流し続ける氷河のように流動性を伴った鑑賞体験を生み出し、見るという行為への再考を促します。
今展のタイトルとなっている「絵画の証」展は2003年、2004年にGallery Yamaguchi kunst-bau (山口孝氏)の企画で開催されました。本企画の第1回目(2003年)の出展作家であった鈴木淳夫が展覧会タイトルを継承するかたちで、2021年にTEZUKAYAMA GALLERYのVIEWING ROOMを会場に「絵画の証Ⅲ – 東海版 -」が開催されました。約2年振りとなる今回の「絵画の証」展は前回の企画者でもある鈴木が、独自の手法で絵画制作を続けている和田直祐の作品に出会った事から端を発しています。
共通して、自身の絵画の基盤にレイヤー構造を用いている両作家ではありますが、素材の選択や最終的なマチエールの処理において、明確な差異、絵画に対する意識の違いを感じ取る事ができます。
是非、この機会にご高覧賜りますようお願い申し上げます。
【鈴木淳夫 / コメント】
切磋琢磨したい。
今回の絵画の証展のテーマです。
2年前の絵画の証Ⅲでは、既にある作品によりグループ展を企画しました。
浅野弥衛、国島征二、山田純嗣それぞれのアトリエ を訪問し話を伺ったり、作品を選ばせてもらいました。自ら企画をすることで、その作家の姿勢や制作方法などをより身近に感じるようになりました。
そのことに味をしめ、今回は自分より若くて、独自の方法で作品を制作している和田直祐さんに声をかけました。
お互いに連絡を取り合いながら展覧会を計画することは得るものが多いだろうと考えました。
「デッサンをしているように描いている」という言葉を和田さんから聞いたのがもうすでに収穫です。
今回の「絵画の証」展では私と和田の作品サイズと色を話し合い、隣り合わせで展示します。
彼の作品に挑むような、切磋琢磨するような展開になればと思います。