シャイニング・ウィザード

シャイニング・ウィザード

築山有城

2012.9.7 Fri-2019.10.6 Sat

神戸を拠点に活動する”彫刻家”築山有城。

近年の立体作家の多くは自らのイメージを具現化するために最適な素材を選び、作品に起こすというアプローチを取りますが、築山の制作方法はまったく異なります。彼にとって、素材そのものの特性を活かし、いかに面白く心躍るものに仕上げるかが最大の関心ごとであり、素材と真っ向から向き合い、対話し、格闘する中で生まれてくるものこそが作品なのです。その姿勢は、”立体作家”ではなく、まさに”彫刻家/Sculptor”といえます。

時には、真夏の猛暑の中両手で抱えるほどの丸太を金槌と鑿だけでわずか数センチの太さまで削り、時には幅4メートルを越える巨大な板を鉛筆の筆致のみで埋め尽くし、また、時にはペンキの塗布と研磨を限りなく繰り返すというその偏執的な制作方法から生み出される作品群。それらは一見シンプルに見えますが、まさに作家の血と汗の結晶に他なりません。

コンセプトが重視され、安易なレディメイドが是とされる昨今のアート界ではありますが、こんな漢(おとこ)が一人ぐらいいたっていいじゃないかという想いとともに、テヅカヤマギャラリーでは初となる、築山有城の個展を開催いたします。

「シャイニング・ウィザード / SHINING WIZARD」、”閃光魔術”とも訳されるこのタイトルは某有名プロレスラーが持つ必殺技の名前から命名されました。それは、”アスリート”と言える程に肉体を駆使して制作する築山の姿、また、彼の全力の挑戦により引き出される思いもよらない魔術的な素材の変化をあらわしています。夏の終わりの展示にむけて、猛暑のなか今まさに制作に打ち込む築山有城の渾身の一撃を是非ご体感ください。

 

アーティストステートメント
毎日のように描いたりつくったりしていると、まれに断片的な「気付き」がある。

それは、落下、乾燥、溶解など地球上に起こる様々な現象によるものであり、素材の特性に関する新しい発見に繋がる。

私の制作は、時間、空間、重力、気候など地球の力をほんの少し拝借する魔術のようなものかも知れない。

築山有城