Main Gallery
Yuki Tsukiyama Exhibition 2020
築山有城
2020.6.26 Fri-2020.8.1 Sat
このたび、TEZUKAYAMA GALLERYでは6月26日より彫刻家、築山有城の個展「Exhibition 2020」を開催いたします。
1976年に生まれた築山は、2000年に京都造形芸術大学芸術学部美術科彫刻コースを卒業し、現在に至るまで出身地である神戸に拠点を置き 、関西を中心に精力的に活動をしている彫刻家です。
築山が扱う素材は金属や樹脂、木、塗料など多岐に渡りますが、制作の出発点は常に素材そのものにあります。彼自身が「遊び」と呼ぶ実験を繰り返す中から素材固有の特性を捉え、それを作品主題の一部とする点において、築山の作品制作には一貫した姿勢が感じられます。また、作品を構成する要素はシンプルでありながらも、一つのスタイルに固執せず、常に好奇心と柔軟な思考から作品制作へと繋げていきます。
今展では、総重量250kgの楠の木塊を手鋸を用いて6分割にした大型の彫刻作品の他、ドローイングや新作の平面作品などを展示いたします。
どうぞ、この機会にご高覧下さいませ。
[アーティスト・ステートメント]
ひょんなことから手に入った250kgの木塊を前にあれこれ思いを巡らせ ている時期があって、「チェーンソウ貸そうか」と数人の方々から声をかけていただきました。 チェーンソウで切りきざむか、木工所に頼んで機械で引いてもらうかと考え、費用はどれくらいだろうかと考え、時間はどのくらいかかるかと考 え… そうやって制作がすすんでいこうかとしている時に、稲妻が落ちるかのようにある疑問が降りてきたのでした。行きつく先が同じならば、より早く、より低予算でたどり着くことが果たして最もよい手段なのだろうかと。
日常生活を送る中で私は効率を考え、費用対効果を考えます。しかしたまには、それらを全て投げ捨てて「歩いていく」ことが、人が豊かなアイデアを得ることにつながっていくのではないでしょうか。
2時間を超える映画が数秒でスマートフォンへダウンロードされる(5G) 、肉眼で観るよりも高詳細な画像や映像が映し出される(8K)。高度な技術がものすごいスピードでどんどん世に送り出されていきます。 クスノキは何十年何百年かかってここまで大きく成長します。技術が進歩すれば、クスノキの苗木も数時間で大木へと成長する時代が来るのかもしれません。
「手鋸で引く」のはなぜか。腕も背中も腰も痛くて、時間もかかる。 作家として「reason why? なぜなのか」に迅速に答えられないものごとを大切にしたいと思っています。 おもしろいことに、大正時代につくられたであろうこの山鋸はスマホひとつヤフオクで手に入れたんですけどね。
築山有城